こどもの乱視矯正について
お子さんの眼鏡を作るときに「乱視の矯正もしましょうね」と眼科さんから言われ、遠視・近視どちらかの矯正と合わせて乱視矯正も行うことがあります。
いずれもぼやけた世界を綺麗に見えるようにするためのものですが、その中でも今回は「乱視矯正を必要とする」のお子さんの見え方の理解を深めてみたいと思います。
乱視とは、ものを見るときに遠く・近くに限らずピントがうまく合わず、文字や形がにじんで見えたり、ぼやけてしまう状態です。

乱視は得意な方向と不得意な方向があるのが特徴で、強めの乱視をもったお子さんは、強さと角度がそれぞれ異なり独自の世界を見ている状態です。(※乱視は強弱ありますがほぼ全ての人が持っています)
成長真っ只中のお子さんに乱視があると、黒板の字が見えにくく授業に集中できなかったり、絵を描くときに線がずれてしまったり、「やりたい!」という想いと裏腹に「上手にできない」といった悲しいことが起こってきてしまいます。
また、私たち見えている親からすると「なんでまっすぐ書けないの?」「じっと集中できないの?」とイライラしてしまうことがありますが、私たちが見ている世界と違うということを理解してあげると色々なことが「そうだったのかと」あたたかく見守ることができます。
実際に私のこどもも、強度の斜乱視なので、小さな時はさまざまなことをゆっくりしていた事を覚えています。
乱視のこどもの見え方
こどもの眼鏡を作る時には多くの方が眼科さんから処方箋を出してもらうこととなります。その処方箋をもとに眼鏡屋さんでは眼鏡を作りますが、その処方箋の中にお子さんの乱視の状態も記載があります。

お子さんの処方箋で
C(円柱)-0.00D・A(円柱) 000°
※0に数字がそれぞれ入っている状態。
と記載があればお子さんは乱視矯正をしていることがわかります。
それでは乱視を矯正するお子さんは裸眼でどのように見えているかみていきましょう。
ここで前置きとして乱視には直乱視(ちょくらんし)・倒乱視(とうらんし)・斜乱視(しゃらんし)という種類がありそれぞれ見え方が違ってきます。
乱視の原理についてはこちらをご覧ください。
乱視が少ない目
まず初めに目が良い(乱視の矯正を必要としない)お子さんの見え方はこのようにはっきり見えています。※厳密にいうと乱視がない人はほとんどいませんが強い場合は常にボヤけるため矯正が必要になります。

直乱視は裸眼でこんな見え方
AXISが180°方向に近い数字が入っていると直乱視と言われる乱視です。
直乱視のお子さんは裸眼の時には縦線が濃くはっきり見える状態です。

倒乱視は裸眼でこんな見え方
AXISが90°方向に近い数字が入っていると倒乱視と言われる乱視です。
倒乱視のお子さんは裸眼の時には横線が濃くはっきり見える状態です。

斜乱視は裸眼でこんな見え方
AXISが45°/135°方向に近い数字が入っていると斜乱視と言われる乱視です。
斜乱視のお子さんは裸眼の時には斜め線が濃くはっきり見える状態です。

今回作成した見本は参考となるためのもので、乱視も程度によってその見え方の強度は様々です。
こどもの眼鏡を作る際には眼科さんに行って処方箋をもらうことになりますが、お子さんの乱視の矯正度合いを決める上でも眼科さんでの処方箋作成がとても大切なことだと言えます。(小学生くらいになると眼鏡店での検眼を行うお子様(親御さん)がおられますが子供専門の眼鏡店としてはお勧めできないということもお伝えしておきます)
お子さんの場合、乱視矯正をすることで「目が楽になる」「文字がはっきり見える」など集中力の一助になりますし、眼鏡をかけることで綺麗な世界が見えるようになりますので、きちんと眼鏡をかけるようにして、はっきり見える綺麗な世界で「見たいものをきちんと見て」成長していってほしいなと思います。
こどもの眼鏡装用は、親御さんの知識や理解が深ければ深いほど、お子さんの目を守り、成長を助けることになりますので少しでも乱視についての理解を深めていただければと思います。
乱視は裸眼ではこんな風に見えていたんだとお子さんへの理解を深める一助になれば幸いです